Q&A 義仲の母の伝承地

Q&A 義仲の母の伝承地

義仲館ご来館の方から「義仲の母の伝承地はありますか」との質問をいただきました。

義仲の母は「小枝御前」という名前が一般化していますが、他に義仲の母として「若名御前(岐阜県)」「青江御前(埼玉県)」などの伝承にあります。

平家物語・源平盛衰記では義仲の母の名前は出てこないため、木曽・塩尻地域に伝承されていた「小枝御前」の名が江戸時代の創作物で用いられ、そのまま現在の小説などでも使われるようになったのではないかと推測します。

江戸時代は歴史上の人物を題材にした小冊子が大変数多く作られました。そこでは自由な想像力を働かせた物語が展開していますが、大変広い範囲で流通したため、それまで狭い地域のみで伝わっていた伝承に影響を与え、再構築が行われてしまったと考えられます。

もしかしたら、日義と塩尻では違う名前が伝わっていて、どちらかが影響を受けたのかもしれません。

それとも義仲と母が広範囲に行動していて、実際小枝御前に会った人がそれぞれの場所にいたのかもしれません。

また、そうした書物の流通があったにもかかわらず、独自の名前を伝えているのは、地域の方の強い意志のようなものも感じます。

伝承の面白さは「何が正しい」のではなく、「どうしてそのように、その場所に伝えられたのか」を想像をめぐらせるところにあると思います。


〇長野県木曽町日義地区(義仲館至近)

また、現在は残っていないが、木曽川の中にそそり立つ岩に一本の松が生えており、「小枝御前の松」と呼ばれていたが、台風により流されてしまったという。

〇長野県塩尻市

義仲については木曽だけではなく、塩尻~朝日村の広範囲にわたって伝承が分布している。洗馬の地名の由来も「義仲が兼平と「馬」を「洗」った」伝承による。

〇岐阜県美濃加茂市

木曽川の下流の小島に小山観音がある。風光明媚な場所。


〇埼玉県嵐山町

嵐山町には義仲産湯の清水があり、付近には義仲の妻・山吹ゆかりの寺もある。

鎌形八幡神社には母の名前は伝承されておらず、近くに駒王丸の夜泣きを鎮めるために、青江御前が橋の下であやしたという「青江橋」という伝承地がある。




長野県木曽町日義地区にある「木曽義仲」の顕彰施設です。リニューアルオープンは2021年7月4日! 義仲館の展示作品の背景にある「歴史」「伝承」「文学」をやさしい文章で紹介します。 収録伝承600以上。地図と共に掲載しています。