見出し画像

義仲戦記18「篠原合戦②」

「この度の我ら追討軍の目的は、源氏を担いで叛乱を起こした叛徒共の掃討にあり、第一の標的は北陸、東山両道での叛徒の首魁源義仲の討伐!
第二の標的は関東、東海両道での叛徒の首魁源頼朝の討伐にあった!」

平氏方追討軍の大将軍であり、この軍勢の副将である平忠度が、平氏方の主だった武将達に訓辞していた。

「だが!残念ながら我が追討軍の現在の状況では遠く関東、東海へ長駆し第二の標的である頼朝を討つ、という事は難しくなったと言わざるを得無い。そこで我が追討軍の行動計画を変更、及び短縮し、最終目標を第一の標的である義仲の討伐、この一点にのみ集中する事にした!」

忠度は言い終わると、本陣に居並ぶ武将達を見回した。




 約二ヶ月前のこの年の四月に都を出陣した平氏方追討軍約十万騎は、北陸道に軍勢を進め、義仲方に付いた北陸諸将の籠城する燧ヶ城を攻撃、これを陥落させ緒戦に勝利すると、その後は北陸諸将らの必死の抵抗をものともせずに、越前、加賀、能登、越中と当初の思惑通り順調に侵攻して行った。
が、遂に義仲が約五万騎の軍勢と共に本格的な反攻作戦に乗り出すと、平氏方追討軍の快進撃も止まる事になる。

 般若野、倶利伽羅、志雄と三つの会戦に相次いで敗北し、侵攻して来た道をそのまま逆に辿って退却し、ここ加賀国篠原に戻り軍勢を再編した時には、全軍で三万騎程にまで軍勢が激減していた平氏方追討軍であった。実に三分の一以下にまで軍勢を減らされた事になる。
 この状況では確かに関東の頼朝を討つ、などと言う事は、夢のまた夢、でしか無い。である以上、とにかく平氏方としては眼前の敵である義仲勢に勝利し、その首魁である源義仲を討ち果たす事に全兵力を投入するしか無いのである。要は、せめて義仲だけでも討ち取る事が出来ればそれで追討軍としては格好が付く、とこう言う訳であった。


「次の戦さでは、おそらく正面から両軍がぶつかり合う、という展開になるだろう。何せ敵義仲勢の方が五万騎と、数が多いからな。
であれば細々した策[作戦]など無用。
この篠原の地を背水の陣と心得、敵に対するのみである。以上だ。
侍大将らはそれぞれの宿所に戻り、敵が現れるまでは身体を休めておいてくれ。但し警戒だけは怠らずにな」

忠度が解散を命じると、本陣に集合し軍議に参加していた生き残った侍大将らは、大将軍達に一礼して本陣から退出して行った。

それを浮かない様子で見送っていた追討軍総大将の平維盛が俯きながら、

「・・・申し訳ありません・・忠度どの・・
倶利伽羅では私が任された大手[主力部隊]の七万騎余りの兵を失い・・・更に忠光[上総五郎兵衛藤原忠光]以外の侍大将まで悉く討ち取られ・・・何と・・・何と言って良いのか・・・」

忠度に詫びた。

そんな総大将の姿を見ていられずに、眼を伏せてやはり俯いてしまったのは、総大将維盛と共に倶利伽羅から這々の体で逃げ帰って来る事が出来た平通盛、平経正、平清房の三人の大将軍らであった。

忠度はそんな四人を痛ましそうに見ていた。同情していたのかも知れないし、もしくは我が事の様に感じていたのかも知れない。

それは倶利伽羅での戦いの一部始終を、倶利伽羅方面で生き残った唯一人の侍大将忠光から聞き取り、敵義仲の手並み、敵義仲勢の纏まり、手際、強さを聞き及ぶにつれ、もし忠度自身が倶利伽羅で義仲に対していたとしても、これに勝つのは容易では無く、おそらく自分も敗れていただろう、との思いが強くなっていた。

忠度には、この四人を叱責する、などという事が出来る筈も無かったのである。が、総大将や大将軍が落ち込んでいては、勝てる戦さも勝てなくなる以上、忠度は優しく語りかけた。

「過ぎた事は良いんだ。
維盛どの、通盛どの、経正どの、清房どの。
それを言ったら私とて、搦手[別働隊]の副将であり大将軍の知度どの[清盛の六男。三河守]を志雄で敵に討たれているのだから」

すると俯いていた四人は僅かに顔を上げ、少し驚いた様に忠度を見た。叱責されるものと思っていたのだろう。

忠度は口許を緩めて頷くと、

「まだ我が追討軍は敗北した訳では無い。それに良く考えてくれ。ここに残った三万騎で義仲さえ討ち取る事が出来れば、それで我が軍の勝利となる」

力強く語りかける。
と、四人の眼付きが変化してきた。その眼には希望が少しずつではあったが宿って来ていたのである。

「であれば倶利伽羅での事を悔いている暇など無い。次の戦さに集中し、その時、存分に暴れ回れば良いだけであろう。我らにはまだ機会が残されているんだ。義仲に勝利する機会が」

忠度が優しく、そして力強く言い終えると、総大将維盛、大将軍の通盛、経正、清房の表情に笑顔が戻り、その眼付きは前向きなものに変わっていた。

「有り難う御座います。忠度どの。
気持ちが後ろを向いていたら、勝てるものも勝てませんよね。解りました。次の戦さの事に集中しましょう」

総大将維盛が、少し晴れやかな表情で言った。
倶利伽羅以後、実に久し振りの笑顔であった。
忠度もそれに微笑みで応えると、

「そうです。事ここに至った以上、後は全力で戦うだけです」

言いつつ立ち上がり、

「私は兵らの様子を見て来ます。総大将維盛どのは本陣で休んでいて下さい。では通盛どの、経正どの、清房どの。総大将を頼む」

本陣の陣幕を潜り、忠度は出て行った。



(義仲に勝利する機会、か・・・)


鐙[あぶみ]に足を掛け、馬に跳び乗った途端、忠度は溜め息を吐きたくなった。
が、何とか堪え、顔を上げ馬を進める。


(兵の数で敵義仲勢に劣り、兵の志気で劣り、必勝の策など有る筈も無く・・・全く・・無い無い尽くし、とはこの事だな・・・)


考えているうちに苦笑が浮かぶ。
思わず、ふふっと嗤うと、不思議と心が軽くなった、と感じた。

忠度は馬上で深く息を吸い込む。
と、それを吐き出した時には忠度の眼付きは真剣なものになっていた。


(おそらく次の戦いが、この内乱の転換点になる筈だ。
我ら平氏方が勝利すればこの北陸、東山両道は再び平氏方の勢力圏に戻り、関東、東海の頼朝を孤立させ、これを取り囲む事が出来れば、頼朝を討つ事も容易くなる。
そうなればこの内乱も早く終結する事になるだろう。だが、もし万一我らが敗北する様な事になれば、その時は戦火は拡大し、この日本全土が戦乱に巻き込まれる事に・・・)


ここまで考えた時、背中に冷たいものが走った様に感じ、忠度は震えた。
彼は頭を振り、


(考え過ぎだ。何であれ、私は眼の前の敵と戦うだけだからな!)


無理矢理、思考を停止させ、馬に鞭をくれると勢いよく駆け出した。
嫌な予感を振り払う為に。

この平忠度は追討軍の副将軍という武将であると共に、詩人でもあった。
詩人の魂を持つ者は、時に孤独で、見たくも無い現実にも眼が届いてしまうものである。しばしば詩人の中には予言にも似た、将来を予知しているかの様な事を詩に詠む者がいるのも、こうした事なのであろう。

だが忠度は同時に武将でもある。彼は平氏方の武将として、自分の内の詩人の魂を眠らせ、常に猛く、毅くあろうとしていたのである。戦場では。






 一方、次の戦いがこの内乱の転換点になる、という重要な事は、義仲も当然認識していた。
 ここまで勝利を重ねて来た義仲であったが、平氏方からすれば、義仲にしろ頼朝にしろ一地方での源氏の小さな叛乱に過ぎない、という少々甘い状況判断をしていたのであるが、次の戦いで平氏方追討軍が敗北し、義仲方が勝利した場合、平氏方の勢力範囲は近畿を含む西日本に限定され、東日本は源氏の義仲、頼朝、奥州の藤原秀衡の勢力圏として固定するのである。こうなれば、一地方の小さな叛乱、などと言う甘い事は言っていられなくなる。
 それまで奥州を除くとほぼ日本全土を掌握していた平氏方からすれば、その勢力圏の約半分を失う事を意味するのである。忠度が嫌な予感を抱いたのも無理からぬ事であった。
 しかし義仲は、次の戦いが持つ重要な意味を理解していながらも、ことさら気合いを入れるでも無く、全く普段と変わらずにいた。つまりいつも通り穏やかに。

「そろそろ軍勢を分けますか?義仲様」

四天王根井小弥太が訊いた。

義仲勢約五万騎は、加賀国篠原に平氏方が集結し陣を構えている、との報告を受けると、能登国小田中より出発し、加賀国手取川を渡河した所で進軍を停止させ、数日後に迫った合戦の為に軍議を開いていた。

訊ねられた義仲は不思議そうに小弥太を見ると、眼を幾分見開きながら、

「何故?」
と逆に問うた。

「そりゃあ勝利の為っすよ。今から兵を分けてその一隊を篠原にいる平氏方の後方に回り込ませて伏せておけば、次の戦さで平氏方が後退した時、退路を塞いで一網打尽。コレで平氏方を撃滅出来るってもんでしょうが」

小弥太は、どうだ、と言わんばかりに彼自身の戦術構想を披露した。
他の武将達はそんな小弥太の気合いの入れ様を苦笑しながら見ていたが、

「勝利の為、とか言ってぇ。
ただ単に自分がその回り込む役をやりたいだけでしょ?小弥太は」

呆れた様に言いつつ、今日も笑顔が眩しい巴御前、戦う美少女巴は、苦笑している他の武将達の本心を代弁した。

「まぁな」
悪びれずに小弥太が胸を張る。
続けて、
「で。どうです?義仲様」

にやりと口許を片方だけ吊り上げて、義仲に可否を求めた。

「確かにそれは良い策だ。が、今回、兵は分けない。
我が軍の方が五万騎と、敵平氏方の三万騎より兵の数が多いからな。
正面から全軍で押し出して行く。
敵平氏方も今回は相当な覚悟で臨んで来るだろうが、今の我が軍ならば充分に敵を跳ね返し、勝つ事が出来る」

義仲は穏やかに断言すると、

「そうでしょうケドねェ。でも何かソレだと今まで鮮やかに勝ち続けて来た義仲様らしく無い、と言うか、地味で思いっ切り普通、と言うか・・・」

諦め切れずに小弥太がもごもごと言っていると、

「解らないのか?小弥太は」

これまでの遣り取りを黙って聞いていた四天王の今井兼平が静かに言った。

「解らねェって何がだ?」

落ち着き払っている兼平に、多少苛立ちながら小弥太が食って掛かる。

「義仲様も今、言っておられただろう。我が軍の方が兵の数が多い、と」

溜め息を吐きながら兼平が説明する。
続けて、

「良く考えてみろ。我が軍は今まで、常に敵より少数の兵しか動員する事が出来なかった。それはつまり戦場での将兵の負担が大きかった、という事を意味する。
彼我の兵力差の不利を覆し、戦さに勝つ為には、敵の軍勢よりも長距離を移動し、また素速く行動し、更に少数の兵でありながらも恐れずに大軍に立ち向かう勇気や闘志を持ち続け、常に油断する事無く、緊張感を持って」

「話しが長ェよ!何が言いたいんだ兼平!」

滔々と喋り続ける兼平に、小弥太がツッ込む。

と、
「だからぁ。将兵達に無理をさせなくて良くなった、って事」

巴が理解しやすい様に言い直してやった。

「あぁ?無理だぁ?」

小弥太が訊き返すのを、今度は義仲が引き取った。

「そうだ。今までは勝つ為に私が立てた奇策と言っても良い様な、ある意味危険な策[作戦]を遂行する為に、将兵らには余計な無理をさせてしまっていたからな。
敵より多くの兵を動員する事が出来れば、この様な無理はさせなくて済む」

心無し真剣な表情で義仲が応じる。

小弥太は、常に麾下の武将らや兵達の事に気を配っている義仲の気持ちを理解していたつもりだったし、そんな義仲を尊敬し、敬愛してもいた。
そしてこの時、同時に反省してもいた。

(この俺ともあろう者が、少し勝ったくらいで敵をナメ切ってイイ気になってやがった。調子ン乗って眼が曇り、義仲様の真意が判らなかったなんて。あ〜あ。四天王とか呼ばれてても、俺もまだまだだぜ・・・)

思わず自重の苦笑が浮かぶ。

「理解したようだな。小弥太」

四天王筆頭樋口兼光も笑みを浮かべながら言う。

「解った。解った。俺の敗けだ」

お手上げ、という仕草で小弥太が応じると、

「やけに退き際がいいわね」

巴が面白そうに交ぜっ返す。

「当たり前だ。俺は義仲四天王根井小弥太だぜ。
ヤる時はヤるが、命令されれば退く時はキッチリと退く」

「威張る様な事?それ」

「おおよ」

「でも退く時は退く、か。退くかなぁ?小弥太は」

「巴。お前ねぇ」
小弥太が更に言い返そうとした時、

「解れば良いんだ。では軍議を再開したい」

兼平が強引に小弥太を遮った。
先程のツッ込みのお返しなのだろう。
ともかく軌道修正し、義仲を見た。

義仲は軽く頷くと、
「先程も言った様に、今回は小細工はしない。敵平氏方が本陣を構える篠原に押し出して行き、全軍でこれに対する。だが我が軍の接近を知った敵は必ず先に仕掛けて来るだろう」

義仲は穏やかに淡々と続ける。
すると先程までのくだけた本陣の雰囲気が、少しずつ引き締まったものへと変化して行くのを、麾下の武将達は肌で感じていた。

「そこで我が軍は、敵平氏方に応戦する形で戦端を開く事になるだろう。
この戦いの指揮は私が直接執るものとする!」

「はっ!!」

麾下の武将達は声を一つにして応えた。

「細かな指示はその都度、命令する事になる。
警戒と連絡は密にしておく様に心掛けろ!」

「はっ!!!」

打てば響く様に応える武将達。
と、ここで義仲は口調を緩め、

「軍の編成は般若野、倶利伽羅、志雄の戦いの時のまま、七つの軍の編成とする。が、若干変更する事にした」

義仲は皆を見回し、続ける。

「先ず
第七軍は三万二〇〇〇騎で本隊とし、総大将に私。
ここに大将として信太三郎先生義憲[義仲の叔父]どの、
新宮十郎蔵人行家[義仲のもう一人の困った叔父]どの、
宮崎長康どの、村山義直どの、武蔵の庄どの、多胡家包どの。
そして祐筆の覚明を配属」

これを聞いた時、麾下の武将達は刹那、お互いに目配せをし合って、肯いていた。中には冷笑を浮かべている者も。

それもその筈、これは表向き麾下の武将達全員が限り無く尊敬し[た事など無く]、心の底から敬愛している[筈も無い]、我らが大将軍新宮十郎行家が、大将軍の役職を外されただけで無く、勝手な事[ビビって直ぐ逃亡する事]をしない様に、総大将義仲自らが行家に首輪を嵌め、手綱を握り、御目付役になったのと同然の処置であった訳である。

つまり義仲は行家に対し、口に出さずとも、その行動で、


『行家叔父は何もしなくて良い。と言うか何もするな。
その方が我が軍の為になる』

と命じているのに等しい。

が、この困ったちゃん行家ドノには、その様な事が分かろう筈も無かった。彼はこの時、上機嫌に大声で嘯いた。

「おお!このワシが第七軍本隊に配属とな!
義仲どのが総大将なら、さしずめこのワシは副将軍であるな!
良かろう!このワシに任せておけ!この新宮十郎蔵人行家にな!」


(あんたは何も任されて無ェよ!)


本陣にいた武将達は心の中で総ツッ込みを入れた。
この瞬間、行家以外の武将達の心は一つになっていた。

それはさて置き、義仲は続ける。

「第一軍から第六軍の各軍は、それぞれ三〇〇〇騎を擁し、全部で一万八〇〇〇騎。そして各軍に三人の大将を任じ、この大将はそれぞれ一〇〇〇騎を率いる事とする。そして戦況に応じて、この一〇〇〇騎の部隊を戦線に投入して行く事になる」

「はっ!!!」

武将達は一瞬で頭を切り替え応じた。実際、既に武将達の頭の中からは、行家ドノの事など綺麗に消し去られている。

「では
第一軍。大将には落合兼行。巴御前。富樫入道仏誓。
第二軍。大将には楯親忠。津幡隆家。那波広純。
第三軍。大将には仁科盛家。岡田親義。石黒光弘。
第四軍。大将には樋口兼光。千野光広。林光明。
第五軍。大将には根井小弥太。海野幸広。稲津新介実澄。
第六軍。大将には今井兼平。手塚光盛。斎藤太」

義仲は、名を告げた武将達一人一人と眼を合わせると、力強く頷いた。
そして腰を掛けていた床机から立ち上がると、

「最後に言っておきたい事が有る。皆には何を今更、と思われるだろうが、重要な事だから何度でも繰り返しておきたい。
我らはここまで勝ち進んで来た。だが、眼の前の平氏方追討軍にすら、まだ勝利してはいない。
そして最終的な勝利、つまりこの内乱を終結させるには、まだ戦い続けなければならないかも知れない。そうなって欲しくは無いが、そうなる可能性は高い、と言わざるを得ない。
であれば我らは一度の敗北も許されない戦いに身を投じている事になる。
何故ならば我らが敗ければ、それだけ戦乱が長引く事になるからだ」

武将達は真剣に聞いている。
その中には拳を握り締め、力が入り肩を震わせている者もいた。

「だから心に刻み付けて置いてくれ。勝ったつもりで戦うな!
常に勝つつもりで戦え!
勝ったつもりで戦っていると必ずそこに油断が生じる!
そこを突かれたら、勝てた筈の戦いに敗ける事になる!」


「おおっ!!!」


義仲の言葉に、野太い声が応じた。麾下の武将達の腹から出た声だ。
義仲は瞬きせずに大きく頷くと、表情を少し緩め、

「とは言え、私はあまり心配などしてはいない。
これまで諸将らは常に私の期待に応えてくれた。
時には期待以上の働きをしてくれた事が何度も有る。
我が軍は気持ちの上では、常に背水の陣で戦っていたからだ。
篠原では敵平氏方も背水の陣の気概で向かって来るだろう。
だが、その事に関しては我らの側に一日の長が有る。
平氏方は初めてその気概で来るだろうが、我らはこれまで全てこの気概で戦い、そして勝ち続けて来たのだから。

だから気を緩めるな!そして最終的な勝利を掴み、この戦乱に終止符を打つ為に、先ず平氏方追討軍に勝つ!
そしてこの北陸の地を、平氏から取り戻す!」


「おおおおおおおおっ!!!!!」


平氏方追討軍三万騎。
義仲勢五万騎。
ここに両軍の準備は整った。
そしてこの二日後、忠度と義仲が予想していた通り、両軍は戦端を開いた。

この北陸の地で、これが最後の戦いになるのか、それとも戦乱が討ち続くのかどうかは、偏に義仲勢の奮闘に掛かっている事になる。

この運命の地。加賀国、篠原に於いて。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!