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義仲戦記

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第1期(本編) 2022年3月27日より、毎日20:30に更新!5月19日に完結しました。 第2期(外伝) 2022年8月14日より不定期更新しています。 源平盛衰記と玉葉をベ… もっと読む
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#木曽最期

義仲戦記51「運命の日 急」

義仲戦記51「運命の日 急」

状況は最悪であった。

出陣した義仲勢第七軍二〇〇騎は六条をそのまま東に進み、六条河原に出たところで全軍を一旦停止させて周囲を見渡すと、既に七条、八条の河原や法住寺、柳原の辺りには白い旗が幾条も天に翻っていたのである。

白い旗は源氏を示す旗であるが、同じく白い旗を用いている義仲勢にとって、これは味方を表す色では無く、敵の存在を現す不吉な色となっていた。

「来た」

戦う美少女巴御前が馬

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義仲戦記52「約束の場所」

義仲戦記52「約束の場所」

五騎の一角が崩れた。

先頭を駆けていた家包の馬に矢が命中し、乗っていた家包もろとも馬が横様に倒れたのである。

「私に構わず行って下さい!」

家包はよろけながらも直ぐに立ち上がると、駆け続けている四騎に叫んだ。
義仲・兼平・巴・光盛は、家包に目礼を送り返答とした。

と、
「私は上野の多胡次郎家包!私を討ち取り手柄にするが良い!」

家包は叫びつつ太刀を振り翳して敵に斬り掛かって行った。

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義仲戦記53「残照」

義仲戦記53「残照」

「関東勢は既に宇治,勢多二方面より京中へ侵攻。
この上は京への帰還の好機は失われた事となり、逸早く京への御幸は取り止め、平氏一門は福原へ戻られよ、との主君義仲の言葉に御座います」

義仲勢の武将落合兼行が冷静に告げると、平氏方の御幸の行列より先行していた越前三位通盛と皇后宮亮経正の両将は絶句したまま馬上で固まっている。

義仲の命を受けた落合兼行は、京を出ると淀川沿いに南下し、摂津に入って富田[大

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